若鶏を白ワインヴィネガーで煮込んでいきます。
ブイヨンを使わず、ニンニクと大量のトマトで、若鶏の美味しさを伸びやかに煮あげる、そんな料理です。
赤ワインヴィネガーを使ったり、クリームは入れたり入れなかったりなど、いろいろな方法がありますが、
今回はベーシックな作り方で、鶏、ニンニク、トマトの3つの旨みをビネガーでまとめます。
ワインヴィネガーにはいろいろな種類がありますが、好んで使っているのはフランスのオルレアン産の「マルタン・プーレ」。
樽で熟成させる昔ながらの製法で作られていて、風味豊かで味わいにも奥行きがあるヴィネガーです。
この料理に適している若鶏は、1.2kg〜1.5kgくらいのサイズ。
いろいろな部位の味わいを一皿で楽しむために、丸鶏を捌くところから始めます。
骨から出る旨みも一緒に煮込みたいので、骨は外さずつけたまま使います。
火が入りやすくぱさつきやすい胸肉などの部位は大きく、骨を抱えて火が入りにくい部位は小さめに切って、火が入る速度を揃えてあげることが大切です。
しっとりと仕上げるために、肉に急激に火が入らないように注意しながら煮込んでいきます。
塩は、素材が加わるごとにふるイメージで使います。
総量が同じだからといって、最後にまとめて一度に入れてしまうと塩の味だけが浮いてしまうことになります。
途中途中でそれぞれ塩をすることで、塩が尖らず丸みを生み、料理にきれいに馴染んでくれます。
ソース作りのポイントは、裏漉しした鶏肉の煮汁を、艶が出てくる(=ミロワール)まで煮詰めることです。
これが中途半端だと、寝ぼけた味になってしまうので、しっかりと煮詰めて美味しさを凝縮させます。
生クリームを加えますが、これは煮詰めたエッセンスを飲める状態に延ばすイメージ。
生クリームを入れた後に煮詰めると重たいソースになってしまい、
現代風の軽やかなフレンチに仕上がらなくなるので、あくまでも煮詰めたエッセンスに馴染ませるようにして仕上げます。