私の店の天ぷらに使う油と、衣の作り方のお話です。
本来、「天ぷら油」「天ぷら粉」という決まったものはないです。
油にも小麦粉にも色々な種類がありますが、どういう小麦粉を使ってどういう油で揚げるかでお店の味が決まってくると思います。
油は100%、竹本油脂さんの太白胡麻油です。
一般的な胡麻油は炒ってから絞りますが、その炒り具合によって濃度や香りが変わってきます。
この胡麻油は炒らずに絞る生絞り。昔ながらの圧搾製法でゆっくりと絞ってから、雑味や蝋分(ろうぶん)を取り除く精製をしたもので、香りはなく、温度が下がっても固まらない油です。酸化に強く、後味もすっきり。
低温から高温まで対応してくれる、自分の意思が伝わりやすい油なのです。
小麦粉は、超薄力粉。お菓子などによく使われるスーパーバイオレットという粉です。
強力粉、中力粉、薄力粉の違いは、タンパク質の含有量ですが、同じ薄力粉でもメーカーによってタンパク質の含有量は違ってきます。この粉はタンパク質が一番少ない小麦粉になります。
グルテンが少なく粘りが出ないので、サクっと揚がるのです。これを使われている天ぷら屋さんはそんなに多くないかもしれません。でも、揚げ玉がすぐにキュッとしまる感じが好きなんです。
水と薄力粉をつなぐのが卵で、これが多すぎても少なすぎてもダメです。
多すぎると焦げやすくなり、少なすぎると衣が皮膜の役割を果たさなくなり油を通してしまいます。
水1リットルに対して全卵1個は少ないように感じるかもしれませんが、水と粉をつなぐには丁度いい分量です。
基本的に衣はあまり混ぜない方がいいので、卵と水の時点でよく混ぜておくのがポイント。
天ぷらの衣は、出来上がった時点からどんどん劣化していくので、使う分だけ少量ずつ作るのが大事です。