店で使っている一番出汁の引き方です。出汁の引き方は、お店や料理人によっていろいろですが、ご紹介する方法は自分が美味しいなと思う引き方です。一晩かけて戻した昆布は、旨みと香りが一番抽出できる温度帯の60〜65℃でゆっくり加熱します。そうすることで、雑味や臭みがなく澄んで美味しい出汁が引けます。
鰹節はたくさん入れれば美味しくなるというものではなく、昆布のイノシン酸、鰹節のグルタミン酸のバランスが取れて初めて美味しい出汁が引けます。それなので、削り節の分量はきちんと量って使います。鰹節を入れる際の温度も重要です。沸騰しているところに入れると、嫌な臭いが出てしまいます。鰹節は70℃くらいで一番旨みが出るので、昆布出汁が80℃くらいになったら鰹節を入れ、入れ終わってちょうど70℃くらいになるのが理想です。
店で使う水は、すべて店主の地元、栃木の鹿沼の天然水です。柔らかくてまろやかな美味しいお水です。お椀やおひたしなど、ほぼ全ての料理にこの出汁を使っており店の味の土台となる出汁です。