1962年岩手県一関市生まれ。岩手県立千厩高等学校卒業。
実家が魚屋を営んでいたこともあり、小学生の時から食に関心を持つ。将来は料理人になりたいと早くから思い始めていた。
でも、野球がやりたかったので高校は普通科に進学。その間も、将来的には自分ひとりで食べ物の店ができるようになりたいと志していた。
当時はフレンチやイタリアンがまだそれほど身近ではなかったので、自然と和食に興味を持つ。
親戚が寿司店だったので、それ以外のジャンルで、ひとりでできる業態を模索。カウンターの天ぷら店を持ちたいと思うようになる。
1981年、高校卒業と同時に銀座の老舗天ぷら店「天一」に入社。
1日でも早く入社すれば先輩だと思って卒業後すぐに働き始めたが、
同年入社は全員横並びだと知り、もう少し春休みを楽しめばよかったとちょっぴり後悔。
「天一」の創業者には、天ぷらを揚げる技術以外に、和食の職人として必要な所作や動き、
茶道や華道といった教養など多岐にわたって様々な薫陶を受ける。
「天一」で17年半修行を重ねたのち1998年11月に独立し、銀座に「天冨良いわ井」をオープン。今年23年目を迎える。
吟味し尽くした旬の食材を、その持ち味に合わせて衣の濃度や油の温度、揚げ時間を自在に変え、極上の天ぷらに仕立てる。
その匠の技は圧巻そのもの。
2015年には現在の場所に移転。
店の中央にある大きなカウンターは、埼玉県越生の名刹「龍穏寺」の御神木だった樹齢350年の檜。
凛とした空気が流れる店の中で、能舞台のような存在感を放っている。